ふくさ(帛紗/服紗)の茶道における役割と選び方とは
- 茶道具
- 2025.11.19
目次
茶道に欠かせない道具の一つが、「ふくさ」です。
ふくさは、茶道で茶杓や茶器などのお道具を清めたり、釜のふたなど熱いものを持ったりするときに使う布で、茶席での所作に深く関わっています。
今回は、ふくさの基本的な役割や選び方について解説します。
茶道で使用する「ふくさ」とは
ふくさは、漢字では「服紗」・「帛紗」と表記されます。
「袱紗」と表記された場合は、冠婚葬祭でお香典やご祝儀を包むのに使用する布の方を指し、茶道用の帛紗とは別のものです。
茶道におけるふくさの役割
ふくさは、先に述べたように、茶道で茶杓や茶器などのお道具を清める、釜のふたなど熱いものを持つ、お茶碗やそのほかのお道具を拝見するときなど、お点前の中で使用する頻度が高く、茶道のお点前において欠かせない布のお道具です。
基本的には絹でできており、柔らかく、手になじむように作られています。
また、ふくさは茶席での所作を美しく見せる重要な道具でもあります。
茶道で茶椀や茶杓などをふくさで清める際の所作を「帛紗さばき」と呼びます。
茶道をするうえで重要な所作と言われ、お稽古でも必ず練習します。
「帛紗さばき」の一連の美しい所作は、お点前の見どころのひとつともいえます。
ふくさの種類と選び方
ふくさは、茶道の流派や、性別によっても使用できる色やサイズが異なります。
使用できないふくさを準備してしまわないようご注意くださいね。
流派が表千家なら、男性は紫・女性は朱色を使用します。
裏千家なら、男性は同じく紫・女性は赤を使用します。
また、絵柄の入ったものや鮮やかな色のふくさをご使用になりたい場合は、事前に先生やお稽古場の先輩にご確認ください。
流派やお稽古場、茶席によって異なるため、事前にご確認されることをお勧めします。
ふくさの素材は主に正絹(しょうけん)・人絹(じんけん)の2種類です。
正絹は本物の絹糸のことで、人絹は絹糸に見立てて人工的に作られた合成繊維です。
正絹はしなやかさとなめらかさが非常に優れており、手元をより美しく見せることができます。
また、重さが選べ、重いものほど生地の厚みが増します。
「匁(もんめ)」という単位で表記され、数字が大きくなるほど重く上質なものになります。
初心者は6~7匁、中級者は8~9匁、10匁以上は上級者の方におすすめです。
人絹は安価で、手軽に取り扱いやすいのでお子さんのお稽古用におすすめです。
ふくさを選ぶ際には、流派や茶会の形式に応じたものを選ぶことが大切です。
また、自分の手にしっくりとくる感触のふくさを選ぶことで、所作を美しく見せることができます。
ふくさのお手入れと保管方法
ふくさは繊細な素材でできているため、丁寧なお手入れが必要です。
使用後は、軽く手で払って汚れを取り除き、湿気の少ない場所で保管します。
ふくさは、基本的に濡らさないようにしましょう。
ふくさを家庭で洗うと、洗濯機はもちろん手洗いでも縮みます。
また、正絹のふくさは縮んだりよれたりすると、布地の手触りのやわらさが無くなり、感触が良くありません。
ふくさを新調するタイミング
ふくさを取り換えるタイミングは、お稽古用であれば一般的に1~2年です。
お茶席に持っていくものはきれいな状態を保ち、傷みが出たら即交換しましょう。
具体的な交換のタイミングは下記のとおりです。
■汚れ・傷みが目立ってきたとき
• シミが落ちない
• 生地が薄くなっている
• 糸のほつれ、形崩れがある
■ 重要な茶会や公式の場に出る前
• 初釜
• 先生や社中の大きな茶会
• 公式な席中(特に濃茶席)
晴れの場では新しい帛紗を使うのが好印象です。
■季節や稽古内容に合わせて気分一新したいとき
• 稽古用を日常的に使っている場合、約1〜2年周期で新調する方が多いです。
■着物の格(色)を整えたいとき
• 男性、女性で色が決まっていることはありますが、季節や装いに合わせてふくさを用意する場面もあります。
(例:新しい着物や帯に合わせて新調)
■進級・許状取得の節目
• 免状をいただいたり、炉・風炉の切り替わり時(11月・5月)に新しい帛紗を用意する方もいます。
ふくさを通して茶道の魅力を感じよう
ふくさは茶道において茶器などを清めるという実用的な役割を担っているだけでなく、茶道の所作を美しく見せるための重要な道具でもあります。
ふくさを適切に使いこなせるようになることで、茶道の深い精神性をより感じることができるでしょう。
◦老舗茶舗千紀園の帛紗
※こちらは過去記事に加筆・編集を加えたものです。
千紀園スタッフ 2025.11.19
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